外国人労働者を雇用する時の注意点!!!
就労可能な外国人
外国人の方は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という)で定められている在留資格の範囲内において、我が国での就労活動が認められています。 事業主の方は、外国人の方を雇い入れる際には、外国人の方の「在留カード」等により、就労が認められるかどうかを確認してください。
在留資格については法務省のHPを参照してください
https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/qaq5.html
事業主の外国人雇用状況の届出義務
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律に基づき、外国人を雇用する事業主には、外国人労働者の雇入れ及び離職の際に、その氏名、在留資格などについて、ハローワークへ届け出ることが義務づけられています。
外国人労働者に対する法律の適用
雇用関係では、労働関係法令のほとんどは、日本の法律が適用されるため、他の従業員と同等の処遇をする必要があります。単に外国人だからという理由だけで、最低賃金で雇用することはできません。
労働者にあたらないケース
労働者に当たらない事例は下記の通りです。
研修・インターンの取扱(労働者となる場合とならない場合がある)
・税金や社会保険料の取扱に注意してください。
・賃金としてではなく、「活動支援金」のような形で、研修中の生活の維持に必要な費用を負担すつことがあります。
外国人が自衛業者(あるいは別会社の労働者)として請負契約のもとで働いているケースの確認
・偽装請負に該当するかの確認。
・労働者供給事業(職業安定法44条違反)に該当するかの判定。
地方自治体によっては、外交人が自営業者として働いている場合でも、企業に住民税の特別徴求を課すところがあります。
不法就労者への労働法の適用
原則、不法就労者にも労働関係法令の適用があります。(労災補償)
代表的な労働関係法令の適用
国籍と労働条件
労働基準法(第3条):国籍による労働条件の差別的取り扱い禁止
職業安定法(第3条):職業紹介・職業指導等(募集・採用)において、国籍による差別禁止
・経営悪化等により、外国人であることを理由として不利に扱うことはできません。
雇用契約
労働基準法(第15条):使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。とされています。読めない文字で書かれた契約書における合意の法的効果争いになったときに、その全部または一部が無効と場合があります。
外国人労働者雇用管理指針(厚生労働省)では、外国人労働者が理解できる方法により明示するよう努めることとされています。
厚生労働省の多言語による労働条件通知書を参考にすればようとおもいます。
参考:愛知労働局HPに掲載されています
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/pamphlet_form/roudu_00185.html
従事すべき業務(職務内容・労働条件表記)
・日本では、配置転換・転勤等について、一般に使用者の大きな裁量が認められており、職務範囲を限定的には捉えていません。よって、記載内容は簡単ば場合が多いです。
・一方外国では、配置転換・転勤については、新たな合意が必要な場合が多いので記載内容が詳細な場合が多い。そのため
①職務内容について詳しくより説明・記載した方が良い場合が多いです。
②一方で、日本の職務範囲の考え方を理解してもらう努力をしましょう。
解雇、割増賃金、配置転換等
国により法律の取扱がかなり異なる場合があるので、外国人の国の法律の典型的なものを知っておくと説明するのに役立ちます。
<例>
・解雇:国により解雇規制が異なる。ある国では緩く、ある国では厳しい。
・割増賃金:時間外労働割増賃金の適用対象者範囲が国により異なる。日本では「管理監督者」はかなり限られているが、国によっては、専門業務を行う労働者に対して広く適用される国もある。
・配置転換:日本では、配置転換に対して、使用者の裁量が比較的広く認められるが、国によっては、契約に定める職務内容に強く縛られる。
社会保険の適用
・「適用事業所に使用される者」となる条件
・原則、被扶養者は、国内居住者(2020年4月から)
・外国人の社会保険の資格取得手続:アルファベット・カナの問題
・夫婦別姓の国から来た外国人の被扶養異動届の方法
・脱退一時金申請方法
労働保険の適用
海外において失業補償制度に加入しており、それを証明できる場合には、日本の雇用保険の適用が免除されます。
コミュニケーション
・非言語コミュニケーションの活用。表情、ジェスチャー、アイコンタクト、声のトーンなどといった非言語コミュニケーションを活用しましょう。
・文字、絵、表等を活用しましょう。
・言語能力のみではなく、育った環境による違いを理解しましょう。
(テレビ番組、天候、学校制度)
・自分の発言に対しての理解度を確認する。一般の日本人が理解しているっものと同程度なレベルの理解をしているとは思わないことです。
・原因のわからない日本人指導者の不快・イライラ・怒りの表情は外国人を非常に不安にさせます。
・同国からの外国人が複数いると、お互いにコミュニケーションを助け合うことがあります。
文化・言語の問題
安全衛生
・張り紙の活用。
・動画を活用して説明。
・通訳の活用。
・理解しているかどうかの確認作業。
安全衛生に関する動画は厚生労働省が作成したものが便利です。
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/information/kyozaishiryo.html
https://www.youtube.com/user/MHLWanzenvideo
宗教からくる規律・戒律に対する一定の配慮
宗教
・食事の制限:ヒンドウ―教(牛肉)、イスラム教(豚肉)
・宗教行事:キリスト教(毎週日曜日に礼拝)、イスラム教(毎日5回の礼拝)
慣習
・年齢や性別に対する考え方が文化圏により異なることがある。
・共産圏の国では、人々の国家に対する考えが、我々自由主義圏とは異なる。
・中国、韓国、台湾、ベトナム、シンガポール、モンゴル等では太陽歴の正月よりも旧正月(通常、新暦の2月の上旬)に大きなお祝いをする。その間、一時帰国する中国人も多い。
・ヨーロッパ、アメリカ大陸、オセアニア、フィリピン等のキリスト教の影響の強い国・地域では、クリスマスに大きなお祝いをする。その間一時帰国する者も多い。
まとめ
日本はこれから労働人口が減少して行きます。それもかなり早いスピードです。専業主婦、高齢者にも働いてもらっても、労働力不足は補えません。
対策としては、外国人に働いてもらうことが考えられますが、現状、外国人労働者の問題として、技能実習生(本来は技術移転という海外協力の一環という理念に基づいていますが、実態は人手不足のため労働力確保手段として受け入れている企業が多いのが実態です)に対する長時間労働、低賃金、劣悪な労働環境があげられます。
また、日本の技能実習制度が「強制労働」にあたると米国から指摘を受けています。これをうけて日本政府は 17 年に「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」を施行し、監理団体や実習実施者に対する監督や技能実習生保護の強化、送出国との二国間取決めによる不適切な送出機関の排除、実習先変更支援などの対策を行ってきました。今後は、これらの対策をより強化するとともに、実習実施者や監理団体、実習生に対する継続的かつ定期的な研修を行うことも重要となってきます。
外国人労働者を人手不足の確保手段として考えるのではなく、企業の経営戦略(海外進出、マネージャー、貿易等)としての外国人材の活用の観点から検討してみてはいかがでしょうか。異なる考えを取り込むことによって高い価値を生み出せるかもしれません。