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非常勤役員の社会保険適用はどうなるの?

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非常勤役員 社会保険適用
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資金調達コンサルタント/社会保険労務士 大学卒業後、中小企業支援の志を持って北海道拓殖銀行に入行。融資業務を担当して経営を学ぶ必要性を感じ、行内選抜を経て、日本生産性本部主催、経営コンサルタント養成基礎講座に出向。認定経営コンサルタント資格取得をして銀行に戻るも、経営破綻。中央信託銀行に就職したが、中小企業支援への想いは忘れられず、悶々とした日を過ごす。 その間、社会保険労務士、行政書士、FP1級、宅建士を取得し、独立を意識する。 55歳を機に三井住友信託銀行を退職し、札幌商工会議所の経営指導員を経て独立。 若き入行時の志を現在実行中。

 

非常勤役員 社会保険適用

 

 

 

社会保険料適用事業所とは

法人は資本金や売上等の規模や業種にかかわらず「法人から、労務の対償として報酬を受けている」従業員が一でもいれば全ての事業所について、社会保険加入が義務付けられています。ここで言う従業員は経営者も含みます。そのため、経営者一人であっても社会保険に加入しなければなりません。また、個人事業主であっても、常時従業員5人以上雇用している場合は、一定の事業(飲食・士業等)を除き、社会保険加入が義務付けられています

被保険者の資格

「法人から、労務の対償として報酬を受けている」限り「適用事業所に使用される」者に該当するものとして被保険者資格を取得し社会保険に加入することになります。この場合、法人の代表取締役も「適用事業所に使用される」者に該当し、当然被保険者資格を取得し社会保険に強制加入となります。

非常勤役員の社会保険の適用について

非常勤役員については加入義務はありません。

注意して頂きたいのは、加入する義務が免除されているだけです。非常勤役員の勤務の実態によっては加入しなくても構わないといったことになります。役員は従業員と異なり委任契約に基づくため、通常、勤務労働時間という考え方がなく、その実態についての判断基準は、一般的に経営にどの程度関与しているか等の総合的に判断することになります。

非常勤役員の定義

法律上「常勤役員」「非常勤役員」の明確な基準はありません。名称にかかわらず勤務実態に基づいた複数の判断材料によって

・常勤役員
・非常勤役員

が判断されます。

社会保険の見地からの非常勤役員の判断基準

健康保険法3条では「この法律において『被保険者』とは、適用事業所に使用される者及び任意継続被保険者をいう」とし、厚生年金保険法第9条では「適用事業所に使用される七十歳未満の者は、厚生年金被保険者とする」と定められています。

では法人の役員は適用事業所に使用される者ではないので加入しなくてもよいのでしょうか。

このことについては役員や法人の代表者であっても、法人から労務の対象として報酬をうけている者は、法人に使用されている者とされています。(昭24.7.28  保発74)

健康保険法・厚生年金保険法の条文を確認した通り、社会保険の被保険者になるためには、「労働の対償として報酬を受け」「適用事業所に使用される」者であると認められる必要があります。

「労働の対償として報酬を受けている法人の代表者又は役員かどうかについては、その業務実態が実態において法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供であり、かつ、その報酬が当該業務の対価として当該法人より経常的に支払いを受けているものであるかを基準に判断されたい」(日本年金機構疑義照⦅受付番号No.2010-111⦆より)としています。

また、これに関連する疑義照会(受付番号No2010-77)では、使用関係に関する具体的な判断材料が以下の通り示されています。

1.当該法人の事業所に定期的に出勤しているかどうか。

2.当該法人における職以外に多くの職を兼ねていないかどうか。

3.当該法人の役員会等に出席しているかどうか。

4.当該法人の役員への連絡調整または職員に対する指揮監督に従事しているかどうか。

5.当該法人において求めに応じて意見を述べる立場にとどまっていないかどうか。

6.当該法人等より支払を受ける報酬が社会通念上労務の内容に相応したものであって実務弁償程度の水準にとどまっていないかどうか。

出典:日本年金機構

これらの判断材料により、「経常的な労務の提供」、「経営に対する参画」、「当該業務の対価」にあたるのかどうかがある程度は判断しやすくなると思われます。

実際の確認の際は、上記の①~⑥を参考にして、個別の事案ごとに被保険者とすべきかどうか総合的に判断されることとなっています。

社会保険の加入か否かは、役員報酬の高低で決まるわけではありません

上記のとおり、社会保険(健康保険・厚生年金保険)では役員が被保険者とならなくてもよい場合の要件には、報酬額要件はありません。役員報酬額がいくらまでであれば社会保険に加入しなくてもよい、という基準はありません。

労務の対償として報酬を受けていないのであれば「適用事業所に使用されている」者に該当しないため、被保険者になりません。

念のため、健康保険法上の「被扶養者」に認定されるための「生計維持関係」を判定するために使用されている基準と混同しないようにしてください。まったく別物です。以下「生計維持関係」の基準を参考までに記載させて頂きます。

1.認定対象者が被保険者と同一世帯の場合
認定対象者の年収が130万円未満(60歳以上の場合は180万円未満)、かつ、原則として被保険者の年収の2分の1未満である場合

2.認定対象者が同一世帯に属していない場合
認定対象者の年収が130万円未満(60歳以上の場合は180万円未満)、かつ、被保険者からの援助額による収入より少ない場合

妻を社会保険の扶養範囲内にするなら非常勤役員にすると社会保険料の負担が軽減される

妻を社会保険料の扶養範囲内にするなら、大前提として「非常勤役員」にする必要があります。

なぜなら、

非常勤役員には社会保険(健康保険、厚生年金)の加入義務がないからです。

逆に常勤役員の場合は、役員報酬の金額に関わらず、社会保険が強制加入となります

年収130万円以上に注意

ここで注意して頂きたいことは、非常勤役員になったとしても年収が130万円以上にすると何らかの健康保険(社会保険ではありません)の加入義務が生じてきます。

その場合、妻は国民健康保険に加入することになり、高い保険料を負担する可能性が出てきます。

まとめ

非常勤役員に該当すると社会保険料の負担が軽減されます。ただし、判断は難しいので独自でやるのではなく、日本年金機構や社会保険労務士に相談することをお勧めします。独自の判断で行い、日本年金事務所の調査が入った時に非常勤役員と認められなかった場合、多額の社会保険料を負担しなければならないからです。

役員報酬を貰いながら年金を満額受給できる可能性もある

年金支給停止時に使うの収入の計算は基本月額(年金の年受給額÷12)+総報酬月額相当額(標準報酬月額+⦅その月以前の1年間の標準賞与の総額÷12⦆)です。非常勤役員になった場合、社会保険に加入する義務がありませんので、年金を受給する場合に収入の計算の基礎となる総報酬月額相当額が0になる可能性があります。そうすると、年金は満額受給される可能性が出できます。あくまでも仮説ですので、詳しくは年金事務所、社会保険労務士にお問合せ下さい。

また、役員報酬については、税法の観点から損金算入できるかどうかの問題もありますので、税理士さんにも相談しなければなりません。いずれにしても非常勤役員が社会保険に加入する義務がないことによって、キャシュフローに与える影響が大きいのは確かですので、社会保険労務士、税理士と相談してみる価値はあると思います。

 

 

 

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資金調達コンサルタント/社会保険労務士 大学卒業後、中小企業支援の志を持って北海道拓殖銀行に入行。融資業務を担当して経営を学ぶ必要性を感じ、行内選抜を経て、日本生産性本部主催、経営コンサルタント養成基礎講座に出向。認定経営コンサルタント資格取得をして銀行に戻るも、経営破綻。中央信託銀行に就職したが、中小企業支援への想いは忘れられず、悶々とした日を過ごす。 その間、社会保険労務士、行政書士、FP1級、宅建士を取得し、独立を意識する。 55歳を機に三井住友信託銀行を退職し、札幌商工会議所の経営指導員を経て独立。 若き入行時の志を現在実行中。

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