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改正育児・介護休業法 2022年4月より順次施行「男性の産休」が注目

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改正育児休業休暇
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資金調達コンサルタント/社会保険労務士 大学卒業後、中小企業支援の志を持って北海道拓殖銀行に入行。融資業務を担当して経営を学ぶ必要性を感じ、行内選抜を経て、日本生産性本部主催、経営コンサルタント養成基礎講座に出向。認定経営コンサルタント資格取得をして銀行に戻るも、経営破綻。中央信託銀行に就職したが、中小企業支援への想いは忘れられず、悶々とした日を過ごす。 その間、社会保険労務士、行政書士、FP1級、宅建士を取得し、独立を意識する。 55歳を機に三井住友信託銀行を退職し、札幌商工会議所の経営指導員を経て独立。 若き入行時の志を現在実行中。

改正育児休業休暇

 

 

 

 

改正育児休業法の背景

■少子高齢化に伴う人口減少下において、出産・育児による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児を両立できる社会の実現が重要であるが、実際の育児休業取得率は、男女で大きな差が存在する。男性の育児休業取得率は、令和元年度で 7.48%と、近年上昇しているものの未だ低い水準にとどまる。取得期間も男性の場合は約8割が1か月未満となっている。一方で、育児のための休暇・休業の取得を希望していた男性労働者のうち、 育児休業制度の利用を希望していたができなかった者の割合は約4割であり、労働者の休業取得の希望が十分かなっていない現状がある。
■ 男性が育児休業を取得しない理由としては業務の都合や職場の雰囲気と いったものが挙げられていることから、
①業務ともある程度調整しやすい柔軟で利用しやすい制度
②育児休業を申出しやすい職場環境等の整備
といった取組が必要である。
■また、実際に育児休業を取得した男性の多くは子の出生直後の時期に取得 しており、出産後の妻が心身の回復が必要な時期に側にいたい、育児に最初から関わりたいといったことからこの時期の取得ニーズが高いことが考えられる。
■そこで、具体的には、その後の育児の入り口となる子の出生直後の時期の休業の取得を、現行の育児休業よりも柔軟で取得しやすい枠組みを設けることで促進することが考えられる。
また、育児休業等に関し個別の働きかけ等の取組がある場合はそうでない場合に比べて取得した割合が高くなる一方で、男性では6割以上が企業からの働きかけがなかったと回答している調査結果もあり、育児休業を取得しやすい環境を整備するためには、事業主による労働者への個別の働きかけや職場環境の整備を進めることが有効である。
■ 子の出生直後の短期間の休業のみでなく、その後の夫婦交替等でのまとまった期間の休業の取得も念頭に置けば、育児休業を分割して取得できるようにすることも必要である
■これらに加えて、企業自ら積極的な取組を進めていくという社会的な機運を醸成するため、育児休業の取得率の公表を促すことで、男性の育児休業の取得を進めることも有効である。
■また、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件について、無期雇用労働者と異なる要件が設定されているが、雇用形態にかかわらず育児・介護休業を取得しやすくしていくことも喫緊の課題である。
■こうした取組によって男性の育児休業取得を促進することは、取得を望む男性の仕事と家庭の両立の希望をかなえるとともに、男女問わずワーク・ライフ・バランスのとれた働き方ができる職場環境の実現につなげていくことで、第一子出産後に約5割の女性が出産・育児により退職している現状において、女性の雇用継続にも資すると考えられる。
■また、夫の家事・育児時間が長いほど妻の継続就業割合や第二子以降の出生割合が高くなっているという調査結果も存在する。男性が子の出生直後に休業を取得して主体的に育児・家事に関わり、その後の育児・家事分担につなげることは、女性の雇用継続や夫婦が希望する数の子を持つことに資すると考えられる
■こうした状況を受けて、令和2年5月に閣議決定された『少子化社会対策大綱』では、「労働者に対する育児休業制度等の
個別の周知・広報や、育児のために休みやすい環境の整備、配偶者の出産直後の時期の休業を促進する枠組みの検討など、男性の育児休業取得や育児参画を促進するための取組を総合的に推進する」、「有期雇用労働者が育児休業を取得しやすくする方策を検討する」といった内容が盛り込まれている。
■当分科会では、これらの問題意識の下、昨年9月以降、男性の育児休業取得促進策等について議論を行ったところであり、その結果は以下のとおりであるので報告する。この報告を受けて、厚生労働省において、法的整備も含め所要の措置を講ずることが適当であると考える。

労働政策審議会建議(令和3年1月18日)「男性の育児休業取得促進策等について」より抜粋

 男性の育児休業を取りやすくするのが今回のポイント

・子の出生後8週間以内に取得できる出生時育児休業の創設(産後パパ育休)2022年10月~

・子の出生後8週間以内に4週間まで育児休業が取得できる ➡ 育児休業(R4年10月~)原則子が1歳(最長2歳)まで
・休業申出は、原則休業の2週間前まで ➡育児休業(R4年10月~)原則1ヵ月前まで
・2回までの分割取得が可能(初めにまとめて申し出ることが必要)育児休業(R4年10月~)分割して2回取得可能(取得の際にそれぞれ申出)
・労使協定の締結と労働者との個別合意がある場合、休業中の就業も可能➡育児休業(R4年10月~)原則就業不可
(就業可能日等には上限があります。休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分。休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満)

・育児休業の分割取得2022年10~

現行法では育児休業の分割取得は原則できませんが、今回の法改正で、産後パパ育休とは別に、育児休業を分割して2回まで取得することができるようになります。

・育児休業の制度周知・取得意向を確認する義務2022年4月~

育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
② 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

 妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければなりません。
※取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。
● 妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
周知事項
① 育児休業・産後パパ育休に関する制度
② 育児休業・産後パパ育休の申し出先
③ 育児休業給付に関すること
④ 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
●個別周知 ・意向確認の方法
①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
就業規則等を見直しましょう
注:①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ

・有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件を緩和2022年4月~

これまでは有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得に関しては、「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という要件がありました。今回の改正では、この要件が廃止されました。ただし、労使協定を締結した場合は、雇用期間が1年未満の労働者を対象から除外できます。育児休業給付についても同様に緩和 されました。

・育児休業の取得状況の公表の義務化2023年4月~

従業員数1,000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられます

公表内容は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」です。取得率の算定期間は、公表を行う日の属する事業年度(会計年度)の直前の事業年度です。インターネット等、一般の方が閲覧できる方法で公表してください。自社のホームページ等のほか、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で公表することもできます。

・育児休業給付に関する所要の規定の整備 【雇用保険法】2022年10月~

●育児休業給付

育児休業(出生時育児休業を含む)を取得し、受給資格を満たしていれば、原則として休業開始時の賃金の67%(180日経過後は50%)の育児休業給付を受けることができます。
【受給資格とは】育児休業開始日前2年間に、被保険者期間(※)が通算して12か月以上ある場合
※ 原則として賃金の支払の基礎となった日数が月に11日以上ある場合に1か月と計算します

●育児休業期間中の社会保険料の免除

下記の一定の要件を満たしていれば、育児休業期間(出生時育児休業を含む)における各月の月給・賞与に係る社会保険料が被保険者本人負担分及び事業主負担分ともに免除されます。
① その月の末日が育児休業期間中である場合
② 令和4年10月以降は
・ ①に加えて、同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合、新たに保険料免除の対象とし、
・ ただし、賞与に係る保険料については連続して1か月を超える育児休業を取得した場合に限り免除になりました。

制度改正により実現できる働き方・休み方(イメージ)

改正後の働き方・休み方(イメージ)

育児休暇変更

 

くるみん認定・プラチナくるみん認定の改正及び新たな認定制度の創設について

認定の概要

① 企業が次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)に基づいた一般事業主行動計画の策定・届出を行い、その行動計画に定めた目標を達成するなどの一定の要件を満たした場合、「子育てサポート企業」として認定(くるみん認定)
② くるみん認定企業のうち、より高い水準の要件を満たした企業に対しては、より優良な「子育てサポート企業」として認定(プラチナくるみん認定)
③ 認定基準を満たさなくなったり、次世代法に違反したりした等の場合に、認定取消しの対象となる

主な認定基準

主な認定基準

くるみん認定

育児休業の導入の仕方

部下から相談があった時の対応

まず、聴取しなければならないことは以下2点です。
①いつから取得するのか。
②どのくらいの期間なのか。

人繰りの対応

引継ぎを依頼する部下と下記の内容について話し合いをしてください。
①現在抱えている仕事量の把握
②抱えている仕事の中で業務を効率化できないかを話し合う。
③他部署との連携のやり方を見直す。
④引継ぎに際してマニュアルを作成し、全員が引き継げる体制を構築する。

雰囲気作り

育休を取得すことによって、引き継いだ職員が慢性的に残業が増えてしまっては、今後育休を取得する雰囲気は生まれません。全員に私生活の時間を確保し、限られた時間で成果を出せる職場作りを意識させてください

育児休業導入と同時に社内の仕事のやり方を見直す

・無駄な会議の撲滅(目的ゴールを決める)

長い会議は時間の無駄です。会議を開催する時には必ず会議のオーナーを決めて下さい。オーナーは会議の出席者メンバーを決め、会議の前に開催する目的、会議で得る成果物、終了時間を発表して効率よく会議を進めて下さい。また、会議を始める2~3日前に資料を参加者にメールすると効率は良くなります。

・社内資料の削減

・特に削減するのは会議の資料です。何十枚もの会議資料を作成する必要はありません。既存の資料を使って会議を進めましょう。会議はPCを使って行いましょう。資料を何十枚もコピーするのは、時間と資源の無駄使いです。
・経費の処理も部長印ではなく直属の上司や主任で十分です。記載事項もなるべくコンパクトにしましょう。出来れば、クラウドシステムを使うと便利です。
・その他になぜこの資料が必要なのかを考えながら資料を作成しましょう。

・書類の整理整頓(PC内の整理)

・書類はなるべく共用スペースにラベルを付けて収納しましょう。そうすることで、何の資料がどこに保管されているのかがわかります。そうすることによって、担当者がいなくても対応が可能となります。また、整理整頓することによって、資料を探すという無駄な時間が排除されます。
・PC内もフォルダーを使って整理しましょう。以前使った資料を探すという無駄な時間も削除できます。
・顧客データ等も共用フォルダーを使って保存しておくと、担当者がいなくても対応が可能となります。

・標準化、マニュアル化

・仕事の属人化を防ぐため、マニュアルの作成をしておきましょう。担当者が急に休んだとしても、対応が可能となります。
・仕事の進め方もできるものは標準化をしておき、誰でも対応ができる体制にしておきましょう。

・労働時間を適切管理

労働時間を管理することによって、ある人に業務の負荷がかかり過ぎている状況を早期に発見しましょう。

・業務分担の適正化

部下が今どのような仕事に従事しているのかを把握しましょう。部下が抱えている仕事のボリュームを把握することで、業務分担の適正化を図りましょう。

・担当以外の業務を知る

業務のローテーションを定期的に行いましょう。そうすることで、従業員の多能化が進み、1人欠けても、他のメンバーで容易にカバーすることができます。ローテションを組むのが難しいのであれば、担当以外の業務に興味を持つように指導しましょう。他の業務を知ることで他部署への依頼の仕方も変わるはずです。

・スケジュールの共有化 家族のイベントも共有しておく

出来れば、ソフトを使ってチーム全員のスケジュールを共有しましょう。そうすることで、電話対応の時に困りませんし、仕事を依頼する時にもスケジュールを見て依頼することができ、無理のない仕事の依頼となります。また、出来れば、プライベートのスケジュールも共有し、今日は部下の子供の誕生日だから早く帰宅させる等の配慮ができるようになります。

・がんばるタイムの創設

1日のうち何時間かは「がんばるタイム」を作りましょう。「がんばるタイム」には集中して仕事に取組み、電話等の応対は一切しないようにしましょう。そうすることで、仕事の効率を上げることができます。

・仕事の効率化の共有

効率的に仕事を処理している人のノウハウを全員で共有しましょう。そうすることで全員の処理能力が上がり全体として効率が上がります

・DX化を進めましょう

仕事を効率的に進めるには、ITの導入は不可欠です。積極的に導入をしていきましょう。資金的な問題があれば、IT導入補助金、ものづくり補助金、業務改善助成金、働き方改革関連助成金を使いましょう。

育児休業を導入することのメリット

・優秀な人材が確保しやすくなる

採用時に特に男性の育児休業の取得率や平均期間を公表することによって、柔軟な働き方ができる会社と認識されて有利に働きます。また、普段から有給の消化にも対応することによって、「ホワイトな企業」との認識を持ってもらえます。

・離職率が低下

育児休業、介護休業を導入し積極的に対応することによって、育児や介護による離職がなくなり、離職率の低下につながり、組織としての知識を蓄積できます。

・人材不足の解消に効果大

いろいろな働き方例えば、育児をしながら働く、介護をしながら働く、病気治療を治療しながら働く等の働き方を認めることにより、これからの人で不足に対応することができます。

・社員のモチベーションアップにつながる

育児や介護をしながら仕事ができる環境であれば、社員の安心感が増し、社員のモチベーションアップにつながります。

まとめ

人口減少社会に突入している日本で、今後、高齢者や介護をしている人、病気治療をしている人、外国人にも働いてもらわなければならなくなります。

よって、働き方の多様性が求められますが、一方で多様性になると、チームがバラバラになる可能性があります。長年、大量一括採用後、従業員教育を均一的に行い、正社員の働き方も会社中心としてきて、上下関係の厳しい規律で運営してきた、日本企業に取って多様性を認めて働く職場を作っていくのは消極的になります。

この課題を解決する糸口として、男性のしかも正社員で会社の中心的な役割を担っている30代~40代に育児休業を取得してもらうことは多様性を認める働き方を促進すると思います。なぜなら、育児休業を導入することは、中心的な役割の人がいない中で、働く人の個別の事情に考慮しながら、生産性を上げることが求められているため、否が応でも、多様性を認めて働かざるを得ないと思われます。

まさしく育児休業の導入こそが、日本がこれから直面する課題を解決手段であると私は思います。チームワークを作るのは日本人が得意としていることでありますので、是非、導入して頂き、働く人の幸福と会社の発展に繋げて頂きたいと熱望します。

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