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社長!!!! 70歳過ぎても高額な報酬を受け続ける限り、年金はもらえません。 

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在職老齢年金
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資金調達コンサルタント/社会保険労務士 大学卒業後、中小企業支援の志を持って北海道拓殖銀行に入行。融資業務を担当して経営を学ぶ必要性を感じ、行内選抜を経て、日本生産性本部主催、経営コンサルタント養成基礎講座に出向。認定経営コンサルタント資格取得をして銀行に戻るも、経営破綻。中央信託銀行に就職したが、中小企業支援への想いは忘れられず、悶々とした日を過ごす。 その間、社会保険労務士、行政書士、FP1級、宅建士を取得し、独立を意識する。 55歳を機に三井住友信託銀行を退職し、札幌商工会議所の経営指導員を経て独立。 若き入行時の志を現在実行中。

 

在職老齢年金

 

 

働きながら年金は受給できるの

 

60歳以降に在職(厚生年金保険に加入)しながら受ける老齢厚生年金を在職老齢年金といいます。賃金と年金額に応じて年金額の一部または全部が支給停止される場合があります。賃金と年金額の合計額が47万円を超える場合、47万円を超えた金額の半分が年金額より支給停止されます(ただし、65歳以上の方は老齢基礎年金は全額支給されます)。また、70歳以降についても、平成16年(2004年)改正により平成19年(2007年)4月から同じ取扱いとなっています。(ただし、保険料負担はありません)。

では、60歳以降に働いているとどのぐらいの年金が受給できるのでしょうか。以下計算式です。

 

用語の説明

・基本月額
加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額
総報酬月額相当額
・(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
※上記の「標準報酬月額」、「標準賞与額」は、70歳以上の方の場合には、それぞれ「標準報酬月額に相当する額」、「標準賞与額に相当する額」となります。

 

・基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円以下の場合
全額支給
・基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円を超える場合
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2

例えば、基本月額12万円、総報酬月額40万円と仮定してみましょう。

12万円(基本月額)-(12万円(基本月額)+40万円(総報酬月額相当額)-47万円)÷2=9.5万円

年金額は2.5万円減額されます。

 

これが、高額な報酬を頂いている60歳以上の社長さんの場合はどうでしょう。

例えば、月に60万円の年720万円の役員報酬を受けている社長さんの場合。

総報酬月額相当額は59万円になります。計算は以下の通りです。

12万円(基本月額)-(12万円(基本月額)+59万円(総報酬月額相当額)-47万円)÷2=0万円

年金額は支給停止となります。

標準月額の料率については以下を参照

北海道の標準報酬月額保険料率

 

誤解1(支給停止の年金はあとからもらえない)

 

経営者の場合、報酬との調整で年金が全額停止になっているケースがほとんどです。

その中には、退任した時に遡ってすべて一括して受給できると誤解している人がたくさんいます。例えば、65歳から70歳までの5年間、毎年120万円の受給出来た男性社長。厚生年金に加入して働いているため、報酬との調整で支給停止となる5年分の年金600万円が一括で受給できると思われていませんか。

しかし、支給停止された年金を後から受給できることは絶対にありません。

厚生年金が国民年金や民間の年金保険と違うところは、保険料を払う立場と、年金をもらう立場とを同じ人が同じ時期に兼ねることがあります。

経営者の場合は、年金を受給できる立場となってから、65歳、70歳を過ぎても高額報酬をもらっているため、年金がずっと受給停止となる人も多いです。

現在高額の報酬をもらっているから年金が支給停止になると言われても、70歳まで毎年高額の保険料を払い続けるわけですから、まさか支給停止の年金があとから受給できないとは想像すらできない社長も多いでしょう。

支給停止の年金への誤解に70歳を過ぎてから初めて気づいたとなると大変ですから、最初から正しい知識を持っておく必要があります。

 

誤解2(支給停止の年金は増えない)

 

「支給停止の年金額はどれぐらい増えますか」などと尋ねられることがあります。

支給停止の年金額を後で受給するのだから、現在の額面上の年金額よりも増額された年金を受給できるはず、と誤解しているのでしょう。

しかし、支給停止となっている年金は、後から受給することもできませんし、増えることも絶対になりません。

報酬が高いために支給停止となっている年金を受給することができないこと、つまり毎年年金を捨てていることを理解しにくい人が多いようです。

 

誤解3(70歳になり厚生年金保険料を払わなくなっても年金はカットされる)

 

70歳になると、代表取締役等として法人から報酬を受けていても厚生年金の被保険者でなくなりますので、厚生年金保険料はかかりません。

そのため、「70歳からは老齢厚生年金(比例報酬部分)も報酬・賞与との調整が行われないで全額受給できる」と期待している経営者は多いようです。

しかし、経営者は、70歳になって厚生年金の被保険者ではなくなった後も、厚生年金の「70歳以上被用者」という形で引続き在職老齢年金制度の対象者となります。(70歳以降の年金支給停止のしくみは60歳台後半の場合と同様です)

つまり、70歳からは厚生年金保険料はもう支払わないのに、年金は支給停止となります。

なお、75歳になると健康保険の被用者資格も喪失し後期高齢者医療制度の被保険者となりますが、法人から報酬を受けている限り、引続き厚生年金の「70歳以上被保険者」のままですので、やはり在職老齢年金制度の対象となります。

 

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誤解4(年金の繰り下げは66歳からでないとできない)

 

繰り下げは65歳からの年金を66歳以降任意の時点(月単位)から受け取り始めるというものです。

繰り下げは66歳以上の人にしかできないため、65歳の人ではまだ繰り下げ申し出を行うことはできません。ただし、65歳から年金を受給してしまうと繰り下げは出来ないので、65歳になっても年金の支給請求をしないで、65歳になって送られてくる、年金請求ハガキを返送してはいけません。

そして、66歳になったら別途繰り下げ申し出手続きを行います。そうすると、手続きを行った翌月分の年金から繰り下げによって増額された年金をもらい始めることができます。

繰り下げ申し出をする可能性があると考えて、年金請求書を返送しなかったものの、例えば63歳3ヵ月の時点で、繰り下げをせず原則通り65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金を受け取ろうと考えを変えたときは、繰り下げ申し出をしないで、65歳からの年金をさかのぼって請求すればよいのです。

年金の時効は5年ですので、70歳までに請求手続きを行えば、65歳からの年金をさかのぼって一括受給できます。

 

まとめ

 

退職して厚生年金加入をやめれば、年金が支給停止にならずに全額をもらえるようになります。

しかし、退職するという決断は経営者にとって簡単なことではありません。後継者の育成期間を含めると、事業承継準備には5年~10年程度かかると言われています。以下さまざまな準備が必要だと言われています。

・後継者の決定(親族内承継か、親族外承継か、M&A等社外への承継か)

・後継者の育成、段階的な権限移譲

・経営理念の承継準備

・技術・ノウハウの承継準備

・自社株や事業資産・資金の承継準備

・社員の雇用継続や社内体制・組織風土承継のための準備

・顧客・取引先・金融機関・役員・従業員との信頼関係構築の準備

・事業承継に向けた経営改善(後継者が承継したくなるような環境整備)

・役員の退職金準備

・後継者が経営革新に挑戦しやすい環境の整備

65歳時点では、いつ退職するのか、それまでの準備をいつから始めるのかが決まっておらず、どの年金をいつから、いくら受給するのかを決めていない経営者がほとんどです。

そのため、今後の働き方、退職時期、年金の受給の仕方を先送りしている方多いような気がします。

後継者の育成期間を踏まえると、遅くとも65歳前後までに、できれば60歳ごろまでには、年金受給についてだけではなく、事業承継についても併せて検討を開始したいところです。

すなわち、「年金の受給と事業承継はセットで考えるべき」ということです。

 

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