産後パパ育休が始まる。それに伴い新たな給付制度を新設!!!
産後パパ育休とは
正式には『出生時育児休業』といいます。通称が「産後パパ育休」と呼んでいます。通常の「育児休業制度」とは別に、子どもが産まれたあと男性が8週間以内に4週間まで取得することができ、2回に分割することも可能です。
通常の育休は、休業中に就業することは原則不可ですが、産後パパ育休は労働者が合意した範囲で休業中に就業できます(労使協定を締結している場合に限る)。ただし就業できる日数は、休業期間の所定労働日・所定労働時間の半分までです。
詳しい内容は下記リンクを参考にしてください。
出生時育児休業給付金の創設
産後パパ育休を新たに設けたことで、新たな給付制度として、出生時育児休業給付金が創設されました。
なお、子については、実子であるか養子であるかを問いません。
支給要件
① 子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するための産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。
② 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。
③ 休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が 80時間)以下であること。
産後パパ休業を取得する場合は、配偶者の出産予定日または子の出生日のいずれか早い日から出生時育児休業給付金の対象となります。以下の図を参照して下さい。
対象外になる場合
②同一の子について当該被保険者がした出生時育児休業ごとに、当該出生時育児休業を開始した日から当該出生時休業を終了した日までの日数を合計して得た日数が28日に達した日数の出生時育児休業。
就業日数・就業時間の計算例
出生時育児休業給付金の支給対象期間中、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)まで就業することが可能です。休業期間が28日間より短い場合は、その日数に比例して短くなります 。
就業日数⇒最大5日(5日を超える場合は40時間)
10日×14/28=5日
80時間×14/28=40時間
10日の休業の場合
就業日数⇒最大4日(4日を超える場合は約28.57時間)
10日×10/28=3.57(端数切り上げ)⇒4日
80時間×10/28=28.57時間(端数処理なし)
出生時育児休業期間中に就業した時間を合計した際に生じた分単位の端数は切り捨てます。
また、出生時育児休業を分割して取得する場合は、それぞれの期間ごとに端数処理を行います。
※育児・介護休業法では、就業可能日数・時間が所定労働日数・時間の2分の1以下となっている一方、雇用保険法では10日(80時間)以下となっていますが、これは雇用保険法が暦日ベースで算定しているために生じている違いであり、週5日(40時間)勤務の場合は、育児介護休業法及び雇用保険法の就労可能日数・時間は一致します。
支給期間
子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日)から8週間を経過する日の翌日から申請可能となり、当該日から2か月を経過する日の属する月の末日までに「育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書」を提出する必要があります。
• 出生時育児休業は、同一の子について2回に分割して取得できますが、申請は1回にまとめて行います。
支給額
●事業主から賃金が支払われた場合の出生時育児休業給付金の支給額
支払われた賃金の額 | 支給額 |
「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%以下 | 休業開始時賃金日額×休業期間の日数×67% |
「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%超~80%未満 | 休業開始時賃金日額×休業期間の日数×80%ー賃金額 |
「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の80%以上 | 支給されない |
●休業開始時賃金日額の上限額
休業開始時賃金日額の上限額は15,190円となります(令和5年7月31日までの額)。
出生時育児休業給付金の支給上限額(休業28日):15,190円×28日×67%=284,964円
例:休業開始時賃金日額が7,000円で、14日間の出生時育児休業を取得
この間に賃金が支払われていない場合
支給額:7,000円×14日×67%=65,660円
この期間に3日就労して賃金21,000円が支払われた場合
(支払われた賃金が休業開始時賃金日額×休業期間の日数の13%~80%)
支給額:78,400円(7,000円×14日×80%)ー21,000円=57,000円
両立支援制度改正の背景
●男性の育児休業取得率は、令和元年度で7.48%と上昇しているものの、未だ低い状況にとどまる。
●育児休業取得率も男性の場合は8割が1ヵ月未満となっている状況です。
●一方で、育児のための休暇・休業の取得を希望していた男性のうち、育児休業制度の利用を希望していたができなかった者の割合は4割であり、労働者の休業取得の希望が十分かなっていない
と現状を分析した上で、育児休業制度が改正されました。以下が主な内容です。
2022年4月1日から、企業は従業員に子どもが生まれるにあたり、
・男性育休を含め育児休業が取得できる旨、およびその内容の通知・説明
・取得を促すための意思確認
の2点へ対応する義務が生じています。
また、2022年10月より、産後パパ休暇の創設に伴う出生時育児休業給付金制度も設けられました。
改正の背景としては、少子高齢化に伴う人口減少下において、出産・育児による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児を両立できる社会の実現が重要との認識が政府にはあります。
まとめ
育児制度を充実させることによって以下のメリットが考えられますので、積極的に対応しましょう。
●男性が育休をとれる環境を整えることをきっかけとして、業務の標準化、効率化を進めることで、「特定の担当者しか分からない」「プロセスがあいまい」など、ブラックボックス化している仕事を見直すきっかけにすることができます。
●育休取得から仕事に復帰した後に子育ての時間を確保するために、平日仕事の後にプライベートな時間の確保をすることにも意識が向きやすくなります。こうしたことがきっかけとなり、視野が広がり新しいアイデアや企画がうまれやすくなる可能性が考えられます。
●長時間労働ではなく、業務効率を上げて生産性を保つことが重視される風土が醸成されていきます。一人ひとりの働き方や意識に変化がうまれれば、個人のキャリア形成にもプラスの影響を与えられます。
●男性育休取得率の高さは、「柔軟な働き方ができる会社」というイメージに直結します。特に、若手男性就労者の間では育休取得の意向が年々高まっていると言われています。ライスステージに応じた働きやすさがあることは、若手の人材を確保する際にも積極的にアピールできます。