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年俸制を導入して働き方改革を推進!!!

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年俸制
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資金調達コンサルタント/社会保険労務士 大学卒業後、中小企業支援の志を持って北海道拓殖銀行に入行。融資業務を担当して経営を学ぶ必要性を感じ、行内選抜を経て、日本生産性本部主催、経営コンサルタント養成基礎講座に出向。認定経営コンサルタント資格取得をして銀行に戻るも、経営破綻。中央信託銀行に就職したが、中小企業支援への想いは忘れられず、悶々とした日を過ごす。 その間、社会保険労務士、行政書士、FP1級、宅建士を取得し、独立を意識する。 55歳を機に三井住友信託銀行を退職し、札幌商工会議所の経営指導員を経て独立。 若き入行時の志を現在実行中。

 

年俸制

 

 

 

年俸制とは

 

年俸制とは、労働者一人一人に支払う給与の金額を、「1年単位」で決定する給与形態のことです。個人の成果や能力などを基に、翌年度に支払う給与総額を決定します。労働者との合意に基づき、1年ごとに年間の給与総額を更改するのが一般的です。成果が給与に反映される「成果主義」と一緒に採用されていることが多いです。

 

 

年俸制の導入のメリット

 

年俸制のメリットについて、企業側、労働者側の視点から解説していきます。

 

 

企業にとってのメリット

 

事前に年間の人件費の総額を確定できるため、中長期的な経営計画を立てやすくなります。成果主義と併せて導入する場合には、労働者のモチベーションの向上につながるとされています。年齢や経歴にかかわらず、成果を上げた分だけ翌年度の給与に反映されるため、積極的に仕事に取り組む労働者が増えることが期待できます。それにより、「生産性の向上」や「業務の改善」も期待できます。

また、労働時間についても個別で契約することも可能なため、柔軟な働き方が提供出来、定着率を上げることができます。

 

 

労働者にとってのメリット

 

1年間の給与額があらかじめ決定しています。よって「原則として、年間の給与総額が変動しない」ところがメリットです。

突然の減給や業績による変動などがないため、自家用車や家電等の購入や旅行といった1年間の計画を立てやすくなるのがメリットと言えます。

年齢や勤続年数に関係なく個人の能力や成果により給与の大幅な増加を期待できます

また、成果が給与に直結するため、モチベーションがアップするということも労働者側のメリットと言えます。

 

労働時間についても個別で契約することも可能なため、ライフスタイルに合わせて働くことが可能性です。

 

 

年俸制導入のデメリット

 

年俸制にはさまざまなメリットがある半面、デメリットもあります。企業と労働者にとってのデメリットを、それぞれ解説していきます。

 

 

企業にとってのデメリット

 

企業にとって一番のデメリットは、「年度中に人件費を変更できない」ことです。会社の業績が著しく悪化した場合や労働者個人のパフォーマンスが悪い場合は、年度途中でも賞与で調整できますが、決定した給与総額を年度中に減額することは、原則としてできません。企業にとっての損失につながらないよう、「今後、この社員はどのくらいの成果を上げてくれそうか」を予想した上で、給与総額を決定することが重要です。また年俸制は、一般的な給与形態である「月給制」とは異なるため、目標の設定や人事評価の方法、評価に対して苦情等が考えられ、場合によっては労働者とのトラブルに発展する可能性もあります。労働者とのトラブルを避けるため、年俸制の「対象者」や「給与の計算方法」「賞与の支払い方法」などを就業規則に明記するとともに、内容を労働者に周知することが必要です。

 

 

労働者にとってのデメリット

 

十分な成果を上げられなかった場合、翌年度の年俸が減少するリスクもあります。年俸額が1年ごとに更改となるため、中長期的に見ると安定した収入が保証されないことも、デメリットと言えるでしょう。

また、目標設定や評価方法については、会社側の基準で行われることから、評価に対する不満が募る可能性があります。

 

 

年俸制導入時にすることは?

 

年俸制を導入する場合には、労働条件通知書兼雇用契約書や就業規則に記載することが必要です。

 

労働条件通知書兼雇用契約書に記載すべき内容

 

「年俸制であること」や「支払い方法」について、明記することが重要です。

 

就業規則に記載すべき内容

 

「年俸制の適用となる労働者」や「年俸額の決定方法・決定時期」「支払い方法」などについて、明記することが必要です。

 

年俸制を導入するときの注意点

 

年俸制を導入しても従業員のモチベションが向上し業績が上がらなければ導入した意味はありません。導入するときに整備する事項を解説します。

 

人事評価制度を整備する

 

年俸制の場合、基本的に年に1回しか給与が改定されません。年俸の算定基準があいまいだったり、人事評価が主観的に行われたりすると、労働者の給与に対する不満が月給制の場合よりも出やすくなる可能性があります。そのため、年俸制を実際に導入する際は、明確・公平な人事評価が行えるように、人事評価制度を整えることが重要です。

 

 

労働者に周知し理解を得る

 

年俸制になると残業代や賞与がどのようになるのかが知りたいという従業員も少なくありません。従業員とのトラブルを避けるためにも、労働者に年俸制について周知し、理解を得ることが重要です。就業規則や賃金規程などを改定した上で、労働者に対して十分な説明を行いましょう。

 

 

年俸制の労務管理上の注意点

 

年俸制について誤った認識をしている経営者や労働者も多いため、比較的多い間違いを解説していきます。

 

 

給与の支払方法

 

1年ごとに給与額が決定する年俸制ですが、一度にまとめて全額が支払われるわけではありません。

労働基準法第24条では、「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と定められています。そのため、年俸制であっても、給与総額を分割した額が月ごとに支払われます。

 

賞与の支払い方法

 

【年俸額とは別に賞与が支払われるパターン】

年俸額を12等分した金額が毎月1回支払われます。更に年俸額とは別に、業績に応じて賞与が追加支給されます。

【年俸額に賞与が含まれているパターン】

年俸額を12等分ではなく、例えば16等分した額が毎月支払われ、余った4カ月分が夏や冬に賞与として支払われます。ただしこの場合、4カ月分は事前に年俸額に含まれているため、労働基準法上の賞与とはみなされません。

 

 

時間外手当について

 

年俸制は個人の成果に応じて年間の給与総額が決定する賃金制度であり、実際の労働時間とは関係ないと思われがちです。

しかし、年俸制であっても法定労働時間である「週40時間、1日8時間」を超えて働いた分に対しては、残業代が支払われなければなりません。

残業代を支給する必要がないのは労働基準法第41条の「労働時間等に関する規定の適用除外」に該当する労働者については、労働時間が制限されないため、残業代の支払いは不要です

労働基準法第41条に該当する者とは具体的には、労働時間の決定やその他の労務管理について経営者と一体的な立場にある「管理監督者」や、秘書に代表される「機密事務取扱者」などが挙げられます。なお、管理監督者や機密事務取扱者であっても、深夜残業手当については支払う必要があるため、注意しましょう。

なお、年俸額に定額の時間外労働手当を含むとした場合は、各月に分割して支払う年俸額についても、それに含まれる定額の時間外手当額を明確にすることが望ましく、その際、実際の時間外労働から計算される時間外手当が定額の時間外手当を上回るときは、その差額を支給する旨を定めておかなければなりません。

平均賃金の計算方法について

 

算出基準の1つである「賃金の総額」には、「臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当など)」や「3カ月を超える期間ごとに支払う賃金」「通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの(現物給与)」は含まれません。「3カ月を超える期間ごとに支払う賃金」には、労働基準法上の賞与が該当します。年俸とは別に賞与を支払うケースでは、労働基準法上の賞与に該当するため、平均賃金の算定に含めません一方、年俸に賞与を含めるケースでは、労働基準法上の賞与とは見なされないため、平均賃金の算定に含める必要があります。賞与の支払い方法によって、平均賃金の算定基準である「賃金の総額」が変わるため、注意しましょう。

 

 

欠勤した場合の減額方法について

 

年俸制でも、「ノーワークノーペイの原則」が適用され、就業規則等で明記されている場合は欠勤控除できます。年俸制の場合、年俸額を年間所定労働日数で割った金額(1日当たりの給与)を控除するのが一般的です。賞与分まで含めて計算するかどうかは、企業によって対応が分かれます。労働者とのトラブルを避けるため、「どのような場合」に「どういう計算式」で欠勤控除するのかを、就業規則に明記しておく必要があります。

 

退職金制度の整備について

 

就業規則で一定の要件を満たした労働者については退職金を支給することが記載されている場合には、要件を満たせば年俸制の対象社員も退職金の支給対象者となります。

その場合、支給金額については検討する必要があります。ポイント制等を採用し、年俸制の社員と年俸制でない社員との公平感が必要となります。

 

社会保険料等について

 

年俸制の社会保険料の支払い方法がどうなるかは、年俸をどのように受け取るかによって変わってきます。

例えば、年俸を12分割して毎月支払われる場合と、年俸を14分割、16分割などして一部を賞与で支払う場合で考えてみましょう。

各種保険料を計算する基になる金額が、給与の場合は「標準報酬月額」、賞与の場合は「標準賞与額」と異なるため、社会保険料や雇用保険料、所得税などの金額も変わってくるのです。

どちらが得かということはそれぞれ計算してみないとわかりませんが、「こうすれば得になる」という結論はありません。

 

 

まとめ

 

働き方改革は、労働時間の削減に主眼を置いた「働き方改革フェーズⅠ」から、付加価値の高い働き方に見直していく「働き方改革フェーズⅡ」に深化させていくことが求められております。具体的にはジョブ型雇用、裁量労働制、選択的週休3日制、兼業・副業、フリーランスです。

一方で処遇のあり方についての議論はそんなに深まっていません。年俸制は一般的に成果主義とセットで導入されますが、同一労働同一賃金、ジョブ型雇用の観点からも評価できる賃金体系だと思われます。

しかしながら、労働者の納得を得るためには、人事評価制度の整備や目標設定に納得感がなければなりません。

社内の仕事を見直し仕事の価値について検討してみてはいかがですか。

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