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2022年4月 女性活躍推進法ここが変わります!!!

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改正女性活躍推進法
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資金調達コンサルタント/社会保険労務士 大学卒業後、中小企業支援の志を持って北海道拓殖銀行に入行。融資業務を担当して経営を学ぶ必要性を感じ、行内選抜を経て、日本生産性本部主催、経営コンサルタント養成基礎講座に出向。認定経営コンサルタント資格取得をして銀行に戻るも、経営破綻。中央信託銀行に就職したが、中小企業支援への想いは忘れられず、悶々とした日を過ごす。 その間、社会保険労務士、行政書士、FP1級、宅建士を取得し、独立を意識する。 55歳を機に三井住友信託銀行を退職し、札幌商工会議所の経営指導員を経て独立。 若き入行時の志を現在実行中。

改正女性活躍推進法

 

 

 

女性活躍推進法とは

自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性の個性と能力が十分に発揮されることが一層重要。このため、以下を基本原則として、女性の職業生活における活躍を推進し、豊かで活力ある社会の実現を図る。
・女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供及びその活用と、性別による固定的役割分担等を反映した職場慣行が及ぼす影響への配慮が行われること
・職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備により、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能にすること
・女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきこと

上記の基本原則を実行するべく、国、地方公共団体、民間企業に事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針及び事業主の行動計画の策定が義務づけられました。

女性活躍推進法は10年間の時限立法です。ただし、条文には2026年3月31日(火)をもって女性活躍推進法は失効するとありますが、改正法の施行後5年を経過した場合において、検討を加え、状況次第では“必要な措置を講ずる”とあるので継続の可能性もあるかもしれません。

事業主の行動計画とは

「一般事業主行動計画」とは、企業が自社の女性活躍に関する状況把握と課題分析を行い、それを踏まえた行動計画を策定するものです。行動計画には、計画期間、数値目標、取組内容、取組の実施時期を盛り込まなければなりません。

現時点で行動計画策定義務の対象となっているのは「常時雇用する労働者が301人以上の事業主」ですが、同法の改正により、2022年4月1日から「常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の事業主」も義務の対象になります。

また、策定だけではなく、届出、公表の義務もあります。

行動計画策定から届け出、公表までの流れ

女性労働者の「活躍状況の把握」

①採用に占める女性の比率、または、労働者に占める女性の比率
②平均継続勤務年数の男女比率(※)
③月別の平均残業時間数。最長月  時間
④管理職(課長以上で役員を除きます)に占める女性比率

※②の算定式:女性の平均勤続年数÷男性の平均勤続年数
①、②は雇用形態別に把握する。例)正社員、契約社員/営業職、技術職、事務職
③の算定式:各月の総労働時間数(法定超:休日労働時間含)÷労働者数

把握した①~④に基づいて「課題」を把握

①が40%を下回る⇒計画例Aへ
②が80%を下回る⇒計画例Bへ
③の残業時間が平均45時間を上回る月がある⇒計画例Cへ
④が40%を下回る⇒計画例Dへ
⑤①から④にあてはまらない⇒計画例Eへ

計画書A

株式会社A 行動計画

 女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を次の通り策定する

1.計画期間 令和4年4月1日~令和9年3月31日

2.目標と取組内容

  目  標 〇〇職の女性労働者の採用を1人以上増やす

  取組内容 令和〇年〇月~ 女性労働者が活躍できる企業であることをPRする

(会社案内・ホームページに掲載)

令和〇年〇月~ 女性がいない又は少ない部門(〇〇部門)・職種(〇〇職)への女性労働者の積極的な配置

計画書B

株式会社B 行動計画

 女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を次の通り策定する

1.計画期間 令和4年4月1日~令和9年3月31日

2.目標と取組内容

 目  標 女性労働者の平均勤続年数を現在の〇年より1年以上伸ばす

 取組内容 令和〇年〇月~ 利用できる両立支援制度とハラスメント防止について管理職を含む労働者に周知徹底する。

      令和〇年〇月~ 年次有給休暇を取得推進する取り組みを行う。

計画書C

株式会社C 行動計画

 女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を次の通り策定する

1.計画期間 令和4年4月1日~令和9年3月31日

2.目標と取組内容

  目  標:労働者1人当たりの月平均残業時間を〇時間以内とする

取組内容:令和〇年〇月~ ノー残業デーや定時退社の呼びかけをする           

     令和〇年〇月~ 業務の優先順位付けや業務分担の見直しを行う

計画書D

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を次の通り策定する

1.計画期間 令和4年4月1日~令和9年3月31日                

2.目標と取組内容

 目  標 課長以上の管理職の女性労働者を1人以上増やす

 取組内容 令和〇年〇月~ 〇〇職・〇〇部門等における女性労働者の配置拡大と多様な職務経験の付与を実施する

      令和〇年〇月~ 管理職候補となる女性労働者の育成研修を行う

計画書E

株式会社E 行動計画

 女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を次の通り策定する

1.計画期間 令和4年4月1日~令和9年3月31日

2.目標と取組内容

 目  標 

管理職男女比と全労働者男女比が同程度になるように女性管理職を〇%まで増やす

取組内容 令和〇年〇月~ 男女公正な昇進基準となっているか検証・見直しを行う

               令和〇年〇月~ 管理職候補となる男女労働者に対して管理職育成研修を実施する

出典:東京労働局

「行動計画」の策定

記載内容

①計画期間(2年から5年が望ましい)
②目標の設定(数値を入れた目標を設定)
③取組内容(目標を達成するための取組を設置)
④取組時期を設定

策定した「行動計画」について「社内通知」と「外部公表」をする

周知方法

社内の見やすい場所への掲示や備えつけ、社内ネットワークへの掲載など

外部公表

厚生労働省が運営する「女性活躍推進データベース」に掲載または会社のホームページに掲載

女性活躍推進に関する情報公表を行う

自社の女性の活躍に関する状況について、以下の項目から1項目以上選択し、求職者等が簡単に閲覧できるように情報公表をすることも義務化されています。

女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供

・採用した労働者に占める女性労働者の割合(区)
・男女別の採用における競争倍率(区)
・労働者に占める女性労働者の割合(区)(派)
・係長級にある者に占める女性労働者の割合
・管理職に占める女性労働者の割合
・役員に占める女性の割合
・男女別の職種または雇用形態の転換実績(区)(派)
・男女別の再雇用または中途採用の実績

職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備

・男女の平均継続勤務年数の差異
・10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
・男女別の育児休業取得率(区)
・労働者の一月当たりの平均残業時間
・雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間(区) (派)
・有給休暇取得率
・雇用管理区分ごとの有給休暇取得率(区)

※「(区)」の表示のある項目は、雇用管理区分ごとに公表を行うことが必要です。
※「(派)」の表示のある項目は、労働者派遣の役務の提供を受ける場合には、派遣労働者を含めて公表を行うことが必要です。

併せて、上記の項目とは別に、以下の項目についても、女性活躍推進法に基づく公表が可能です。
・女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に資する社内制度の概要
・労働者の職業生活と家庭生活の両立に資する社内制度の概要

「行動計画書」届出

行動計画を策定したら、策定した旨を都道府県労働局に届け出てください。
■一般事業主行動計画策定・変更届の届出参考様式
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000713159.doc
■次世代法に基づく行動計画と一体的に策定、届出をする場合の届出様式
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000744481.doc

効果測定

定期的に、数値目標の進捗具合や、取り組みの実施状況を点検し、社内で評価することを厚生労働省は薦めています。女性従業員の活躍状況公表は、進捗状況や目標達成を伝える場として活用されています。

そして進捗状況から優良と判断された企業は、都道府県労働局への申請で厚生労働大臣の認定(えるぼし認定)を受けることができます。このマークを掲げる企業は、女性が活躍できる職場という証明になるため、就活中の学生や転職希望者は検討材料の1つになると思われます。

【参考】
厚生労働省東京労働局:女性活躍推進法に基づく行動計画策定かんたんガイド
厚生労働省:女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!

メリット

助成金

行動計画に盛り込んだ取組内容を実施(=「取組目標」を達成)し、3年以内に数値目標を達成した場合に支給。

支給額:47.5万円<60万円> 1事業主1回限り
対象事業主:常時雇用する労働者が300人以下の事業主
<>は生産要件を満たした場合の支給額です

日本政策金融公庫による融資制度

行動計画の策定や「えるぼし」認定を取得した中小企業は、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」を通常よりも低金利で利用することができます。
詳しくは、日本政策金融公庫のホームページへ。

まとめ

将来懸念される日本の労働力不足の問題があります。労働の主力である15歳から64歳までの生産年齢人口は、1995年の8,716万人をピークに減少に転じ、2020年5月には7,471万人と過去最低を更新しました。そんな状況下で、少子高齢化、労働力不足の問題解決策として、女性や高齢者、外国人といった多様な人材の確保が注目されています。

労働不足が今後深刻化することが確実な中、従来通りの正社員男性を中心に長時間労働で会社を発展させる仕組は、時代にそぐわなくなっています。今回の法改正を機にして、従業員の幸福な働き方、そして会社の持続的な発展の両方を可能にする経営戦略、人事管理を検討してみてはいかがでしょうか。

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